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パリ症候群

精神科医の中に、北海道出身で今はフランスのパリで暮らしている大田博之さんという人がいます。
この大田さんはフランスにある日本大使館で顧問精神科医をしていますが、そんな大田さんの書かれた本の中に「パリ症候群」という一冊があります。
本のタイトルになっている「パリ症候群」というのは大田さんの造語であり、この言葉の意味は「ファッションなどの流行の発信地であるパリに憬れて日本から移り住んだけれど、現地の習慣にも文化にも全く馴染めなくて、最後には精神的にバランスを崩していく状態」を「パリ症候群」として、この状態について書いた本のタイトルにしたのです。
そうして生まれたのが「パリ症候群」という造語です。

これは正に「適応障害」になった状態といえます。
この「パリ症候群」の意味は、そのまま精神医学の用語として使えます。そのためフランスでの新聞や医学雑誌にも取り上げられました。
そして現代では「パリに夢や期待を持って来たけれど、すぐに元気がなくなって顔色を悪くして国に帰っていく」という様子の日本人が、パリ名物の一つにもなっている状態です。
この「パリ症候群」という名の「適応障害」になる最も分かりやすいタイプの人は、恵まれた家庭で育った二十代から三十代の女性達で、自分からパリへ留学したりパリで働きたいという望みを叶える為に行くのですが、本当のパリは彼女達が胸躍らせたファッション雑誌やロマンチックな映画に出てくる様なパリではないのです。

映画の様に道行く人が全員、御洒落で魅力的な「パリジェンヌ」と呼ばれる人々で高級ブラインドのバックを持ってモデルの様に歩いてるのではないのです。
それから地元のフランス人との交流も思い描いた通りに出来ない人も、決して少なくないでしょう。
そんな事から体調や精神的な不調が続く時は「適応障害」である可能性が高いので、すぐに専門の医療施設や「カウンセリング」、または「セラピー」などを受けて治療した方が自分のためです。
まだ慣れていないからと放置しておくと、最悪の場合は「適応障害」から「うつ病」に病状が発展していく事もあるのです。